以前、内見した仲介さんからメールが届いた。
件名は「新しい物件情報です」。
──あ、あなたはあのときの……!
そう、あの“満額買付に負けた”因縁の物件を担当していた仲介さんだ。
こちらは渾身の指値を放ったが、あっさりと“満額マン”がその上をいってかっさらっていった。
あれ以来、「自分の基準を持つことの大切さ」を痛感した。
そんな仲介さんから、今度は戸建250万円の情報が届いた。
「おっ…きたか、激安ゾーン!」とテンションが上がる。
ありがたい。
こうして覚えてもらえて、ちゃんと情報を送ってもらえるだけでも、投資家冥利に尽きる。
ただ──冷静になって写真を見てみると、
ん? 砂壁はけっこう劣化してない?
床、抜けてない?
トイレ、もはや存在がファンタジー?
どう見ても「リフォーム費用が三桁万円コース」だ。
心の中の電卓がピピッと弾き出した。
“これは200万円を切らないと採算が合わん”。
というわけで、仲介さんには正直に返信した。
「もし指値できるようでしたら、ぜひ検討させていただきます」と。
するとすぐ返事がきた。
「けっこう問い合わせ多いんですよ~」
……ですよね。
この地域で戸建250万円。
たとえボロくても、光る人には光って見える。
ボロ戦士たちの目は、常に光を逃さない。
今回は見送ったけど、妙な満足感が残った。
なぜなら、「内見して」「買付して」「負けて」「また紹介が来た」。
この一連の流れが、確実に“仲介さんとの関係値アップ”につながっている気がするからだ。
不動産は“情報戦”。
その最前線に立てるのは、実は“動いている人”だけ。
机の前で不動産サイトを眺めているだけでは、
そんな「次のチャンスの扉」は開かない。
だから私は、今日も思う。
──懲りずに続けよう、この“内見筋トレ”を。
物件を見て、感じて、ときに笑い、ときに引く。
それこそが、次の一手への伏線になる。
さあ、次はどんな“ネタ物件”が来るのか。
メールの受信トレイを開く指先に、少しだけワクワクが宿る。

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