ワックスを塗ってもあまり変わらない床、でも満たされる心

6号物件

6号物件のキッチン、リビング、広縁、そして2階洋室。
今日はそのすべてにワックスを塗った。

──いや、塗り込んだ。

モップは使わない。
すべて膝をついての手作業。雑巾を握りしめ、床と真正面から向き合う。
「ここは薄いな」「あっ、毛埃!」と独りごとを漏らしながら、ひたすらワックスをのばしていく。

ただし問題は、膝。
フローリングは思った以上に硬い。数分で膝が“ギシッ”と鳴り、まるで築古戸建の床が悲鳴を上げたようだ。

そこで登場したのが、我が相棒──バレーボール用の膝サポーター。
これが実にいい。
柔らかいクッションが膝を包み込み、「さあ、もう一枚いこう」と背中を押してくれる。
DIYで一番大事なのは根性。二番目は保護具。そんな真理を改めて実感した。

数時間後。
キッチンから広縁まで、すべて塗り終えた。
立ち上がって、達成感に浸りながらリビングを見回す。

……うん。
あれ? 思ったほどピカピカしてない。

照明の角度を変えても、劇的な輝きは見当たらず。
「おかしいな、あんなに膝を犠牲にしたのに…」
──どうやら“劇的ビフォーアフター”まではいかなかったようだ。

でも、いいのだ。
ワックスの目的はツヤだけじゃない。
保護と自己満足、それで十分。
床がツヤツヤでなくても、心の中では輝いている(たぶん)。

これで6号物件は“貸せる状態”に到達。
あとはこれまでの作業道具を片付け、荷物を車へ。
壁紙の残り、ペンキ缶、雑巾、脚立、サポーター。
それらを車に積み込み、5号物件へ移動。

あと1往復すれば完全撤収だったが、今日は体調もいまひとつ。
「もうやめとこう」──その一言で本日の作業は終了。

たった数時間の活動だったが、確かに前進した。
たとえ床が光らなくても、気持ちはちょっと晴れている。

玄関を出るとき、そっと床を見下ろす。
「まあ、地味でも悪くない。」
そんな独り言を残し、6号物件を後にした。

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