いよいよガレージに手を入れることにした。
この物件もだんだんと形が見えてきて、ようやくゴールが近づいているのを実感する。これまで長かった工事や掃除の積み重ねがようやく報われそうだと思うと、少し胸が高鳴る。
しかし作業が順調かといえばそうでもない。今回は塗装だ。正直なところ私は塗装があまり得意ではない。刷毛の扱いが下手なのは否めないけれど、仕上がりのイメージと実際の見栄えに差が出やすい気がして苦手意識がある。
しかも今日は悪条件が重なった。
使った塗料は、なんと5年前に購入して、そのまま開けた状態で物置に放置してあったものだった。フタを開けた瞬間、ドロドロと糸を引くような液体が現れた。まるで漆喰かと思うほどだった。
本当なら新しい塗料を買ってきて、サラサラの状態で気持ちよく塗ればいい。だがそこは貧乏性の父ちゃん大家。「まだ使えるはずだ」と心の声が囁き、結局もったいない精神に負けた。仕方なくベタ塗り、厚塗りで強引に進めることにした。乾いた後にサンダーで表面を削れば、多少は見られる仕上がりになるだろうと自分に言い聞かせて。
このガレージは、もともとは居住用の一部屋だった。それを大胆に解体してガレージにしたため、ところどころ下地がむき出しになっている。今日はその部分を覆うように塗装をしていった。入口付近にはOSB合板を貼る予定だ。本当は全面にOSB合板を張り巡らせれば、ぐっと雰囲気もよくなり、見栄えのするガレージになるのは分かっている。だが、ここは賃貸物件。そこまで仕上げても結局は入居者のため。自分の趣味に走っても意味がないと、心のどこかでブレーキをかけた。結局「入口だけで良し」と割り切ることにした。




それにしても今日は暑かった。ガレージは日陰になっているが、暑さは容赦なくやってくる。狭い空間にこもった熱気と、塗料独特の匂いが混ざり合い、頭がクラクラするような感覚に襲われる。汗はポタポタと落ち、刷毛を持つ手が何度も滑りそうになった。それでも作業を止めなかったのは、完成を少しでも早く見たいという気持ちと、ここまでやったらやり切らないと気持ちが落ち着かないという性分ゆえだろう。
結局、朝の9時から夕方5時まで、ほぼぶっ通しで作業した。太陽はまだ高く、日が残っていたが、体力はすでに限界。無理に続けても効率が落ちるだけだと悟り、潔く工具を片付けて撤収した。
塗装はやっぱり苦手。古い塗料はなおさらだ。けれど、資材を無駄にせず最後まで使い切ろうとするのは、きっと大家という商売柄の性分なのだろう。汗だくのまま、そう自分に言い聞かせながら帰路についた。
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