給湯器、死亡。そこに現れた街のヒーロー

6号物件

プロパンガス屋さんと、現場で初対面した。

場所は6号物件。
目的は入居前の事前チェックだ。

リフォーム中はガスを使わない。
つまり――
「ガスが本当に生きているのか?」
これは、箱を開けるまで中身がわからないガチャと同じである。

そして、ガチャは容赦なく牙をむいた。

……点かない。
コンロ、沈黙。
蛇口、冷水オンリー。
給湯器、完全沈黙。

給湯器、死亡。

ガスが来ない。
お湯も来ない。
笑えない三重苦。

なんてこった。
入居は1週間後に控えている。
ここで詰まると、すべてが崩れる。
脳内で「募集やり直し」「クレーム」「ブログのネタだけ増える未来」が高速再生された。

そんな絶望の中、隣にいたのが
初対面のプロパンガス屋さん

年季の入った作業着、落ち着いた口調。
いかにも「街のプロ」な雰囲気。

私は恐る恐る聞いた。
「……これ、間に合いますかね?」

すると彼は、給湯器を一瞥し、
一言。

「このタイプなら……
うちに在庫、あると思うよ

神か。

いや、神は言い過ぎかもしれないが、
少なくともこの瞬間、私の中では
ガス業界の天使だった。

ありがたい。
本当にありがたい。

決して大手ではない。
テレビCMも見たことがない。
コールセンターもない。

でも、地域密着、街のガス屋さんは違う。

「じゃあ、明日また来るよ」

翌日。
本当に来た。

本当に交換した。
本当に直った。

ガス、復旧。
コンロ、着火。
お湯、ドバドバ。

給湯器が静かに稼働する音を聞いた瞬間、
私は心の中でガッツポーズを決めていた。

なんともありがたい。

不動産賃貸業をやっていて、
物件数が増えるほど強く思う。

設備より大事なのは、人脈だ。

こういう緊急対応で動いてくれる業者さんを
味方につけられるかどうかで、
大家人生の難易度は激変する。

価格の安さだけじゃない。
スピード、判断力、そして人柄。

今回、それを全部持っていたのが
この街のプロパンガス屋さんだった。

きっと今後も頼ってしまうだろう。
というか、もう心の中では
「うちのガス屋さん」認定である。

ありがとう、街のガス屋さん。
今日もまた、
大家は人に救われて生きている。

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