不動産取得税は静かに、確実に襲ってくる

5号物件

ポストに、見慣れない封筒が入っていた。

あの色だ。
役所系独特の、「良い知らせではありません」オーラを放つやつ。

──不動産取得税の納税通知書。

来たか……ついに来たか……。

反射的に私は思った。
「6号物件だな。あれはそれなりに覚悟している」

ところが、よく見ると物件番号が違う。

5号物件。

え?
あれ、買ったのいつだっけ?

記憶をたどる。
購入は──1年以上前。

「そんなに遅かったっけ?」
と一瞬思ったが、調べてみるとどうやらよくある話らしい。

忘れた頃に、静かに、確実にやってくる。
それが不動産取得税だ。

5号物件といえば、
・トタン屋根
・平屋
・汲み取りトイレ

今振り返っても、
「我ながら、よく買ったな……」
と遠い目になるチャレンジ物件である。

だからなのか、不動産取得税も優しかった。

住宅用建物は税率3%。

不動産取得税 = 建物の固定資産税評価額 × 3%

計算してみると、
「……あ、思ったより全然安い」

この瞬間、
チャレンジ物件を選んだ過去の自分を、
少しだけ褒めてあげたくなった。

そして支払い方法。

納税通知書には、eL-QR(QRコード)が印字されている。

スマホを取り出し、楽天ペイ起動。
ピッ。
終了。

……早い。
拍子抜けするほど早い。

何かと便利な時代になったものだ。

さて、問題はここから。

6号物件の不動産取得税が、まだ来ていない。

自治体によって多少ばらつきはあるらしいが、
「だいたい1年後」と考えると、
まだ半年以上は先になりそうだ。

……とはいえ。

6号物件は、
5号物件とは違う。
いろいろと違う。

つまり──
それなりに取得税も来るはずだ。

今は静かだ。
だが、これは嵐の前の静けさ。

私は心に決めた。
その日が来ても慌てないように、
ちゃんと覚悟しておこう。

そしてまた、こう思うのだろう。

「忘れた頃に来るなよ……」

そう言いながら、
きっと私はまた、
スマホでサクッと払う。

それが、不動産賃貸業という
長期戦のあるべき姿なのだから。

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