6号物件から、穏やかじゃない連絡が飛び込んできた。入居してまだ1ヶ月のピカピカの新入居者さんから、仲介担当さんを経由してのSOS。
入居1ヶ月。本来なら新生活を楽しんでいるはずの時期だが、現実は非情。
「あの、キッチンの水が出ないんです……」
大家にとって、もっとも心臓に悪い種類の連絡。
謎の「キッチンだけ」ストライキ
状況を整理すると、なんとも奇妙。
- キッチンの水: 出ない
- キッチンのお湯: もちろん出ない
- 洗面所・お風呂: 水もお湯も問題ない
「えっ、局地的な故障?」と一瞬よぎるが、原因はすぐにピンときた。先週末の静岡。めったに降らない雪が舞い、ガクンと気温が下がったあの夜。入居者さんは週末、お出かけして留守にしていた様子。
これ、「配管凍結」の方程式、完成。
犯人は……分岐点のアイツだ!
実はこの6号物件、入居直前に給湯器を新品に交換したばかり。お風呂や洗面でお湯が出るなら、給湯器本体(心臓部)は無実。
となると、故障箇所はキッチンへと向かう、あの細い配管。そこが寒さに耐えきれず、ガチガチに固まったに違いない。
「時間が経てば、復帰するかも……」と入居者さんも待ってみたものの、現実は甘くなかった。
どうやら凍結時の膨張と、解凍時の急激な水圧変化によって、配管内部のサビや付着物が一気に剥離。それがストレーナー(フィルター)にドバッと流れ込んで、物理的に「目詰まり」を起こしたらしい。
「攻めの保険申請」と、非情な現実
さすがにこれ以上、入居者さんを「水なし生活」にさせるわけにはいかない。
すぐに、給湯器を交換してくれた「戦友」とも言える業者さんにレスキュー電話。
「あ、もしもし!例の6号物件、キッチンだけ凍って水が出ないようです。助けてください!」
餅は餅屋、配管は配管屋。快く引き受けてくれたから、あとはプロの対応を待つのみ。
そして、ここからが大家の「守備力」の見せ所。
すかさず火災保険の担当者にも電話を入れる。
今回のポイントは、これを「経年劣化」ではなく「突発的な事故」として構成すること。
「寒波で凍結し、その物理的ショックで剥離した異物が詰まった」という、凍結をトリガーにしたロジックで挑んだ。
……が、保険会社からの回答は冷徹だった。
「保険、1円も降りず」
理由はこう。 「凍結がきっかけだとしても、詰まった原因である『錆』は長年の蓄積、つまり経年劣化。よって補償対象外」
……ぐうの音も出ない。
今回の教訓:寒波をなめるな
というわけで、今回の修理費用は全額、私のポケットから旅立っていくことが確定した。
静岡の「たまに降る雪」は、積もらなくても配管に牙を剥く。
そして、凍結は「溶けたら終わり」ではなく、その後の「詰まり」までがセット。
入居したての入居者さん、いきなり不便をかけてごめん。

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