週末に内見した戸建物件。
第一印象は悪くなかった。
「これは……アリか?」
そんな感触を残したまま、内見は終了。
そして始まったのが、いつもの儀式――価格交渉だ。
今回も、もちろん攻めた。
結果。
販売価格の21%引きで折り合いがついた。
まさかのマネー成立。
つまり私は、「購入できる権利」を手に入れたわけだ。
……ここまでは、良かった。
問題は、その直後に始まった。
売買仲介会社からの電話。
声のトーンは丁寧。
だが、内容は圧が強い。
「値引きしましたし、当然現金買いですよね?」
「来週には決済できますか?」
畳みかけるような質問。
電話でよかった。
対面だったら、たぶん顔が大きく歪んでいたと思う。
私は必死に言葉を探す。
「いえ……信金に、融資相談をしようかと……」
一瞬の沈黙。
そして返ってきたのは、
「え? まさか特約つけるんですか?」
という、やんわりした追い詰め。
わかっている。
特約をつけた瞬間、この話が流れる可能性はある。
でも、特約はつけたい。
命綱だから。
頭の中で、高速計算が始まる。
新NISAで積み立てた投資。
これを取り崩せば……
あれと、これと、これをかき集めれば……
ギリギリ、現金はいけそう。
胃がキュッとなる。
そして私は、こう答えた。
「信金に融資相談はします。
ただ、もしダメだったら、現金を用意します」
……自分で言っておいて、なかなかの覚悟だと思う。
で、信金との面会を行った。
結果は――
「とりあえず、検討させてください」
この一言が、どれほどありがたいか。
決済日も、審査が終わるまで待ってもらえることになった。
あとは、祈るだけ。
融資、どうか降りますように。
胃薬を飲みながら、静かに結果を待つ週が始まった。

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