網戸の戸車――。
それは大家業の裏側に潜む、小さくて地味で、しかし確実に財布へダメージを与えてくる“隠れボス”である。
今回、5号戸建でその存在を改めて思い知らされた。
「この部屋、ちょっとキレイかな」と思えば、あとからつぎ足された空間だったりする。
おかげで、網戸も当然ながら“統一感なし”。
そしてもちろん、戸車も全部バラバラだ。
今回のミッションは、その戸車たちのメンテナンス。
「調整だけで直るならそれで良し!」
そう思って挑んだが……現実はそんなに甘くない。
回してもダメ、押してもダメ、気合いを入れて“お願い攻撃”をしても動かない戸車がいくつもあった。
まるで「私、寿命です」と静かに訴えてくるような、あの渋い回転。
なんとも言えない“ガリ…ガリ…”という音が、DIY魂を逆撫でしてくる。
仕方なく、近所のホームセンターへ。
そこで私は見た。
網戸戸車コーナーに鎮座する“多種多様の戸車たち”。
丸いの、平べったいの、金具がゴツいの、樹脂で軽いの。
そして値札を見るたびに、無言でそっと棚に戻してしまう自分。
安いもので500円くらい。
ちょっと凝ったタイプになると1000円オーバー。
なんでこんなに高いの!?
大きさでいったら枝豆くらいのくせに、値段は枝豆じゃなくて牛肉並み。
しかし、5号の網戸たちはそんな私の心情などお構いなし。
実際に動かしてみれば、やはり交換が必要なものがいくつもある。
結局、泣く泣く数種類をカゴへIN。
そして作業に戻り、交換。
これがまた絶妙に気持ちいい。
新品の戸車を取り付けて、そっと網戸を動かす。
スーッ……。
軽い。
あまりに軽い。
買った瞬間のショックが、滑らかな稼働音とともにどこかへ溶けていく。
「うん、これは……気持ちいい……!」
やはり新品は正義だ。
これだからDIYはやめられない。
とはいえ、最後にひと言言いたい。
戸車よ、もう少し種類を減らしてくれないか?
そして、できればもう少しお手頃価格になってほしい。
君たち、あんなに小さいのに種類は無限、値段は堂々。
“地味に高いパーツ代表選手”として君臨し続けるのは、そろそろやめてくれても良い。
……と、今日も網戸にツッコミを入れながら、5号物件はまた一歩前進したのであった。

コメント