6号物件、ついに完成間近。
床も壁もピカピカ、照明も新品、工具もすべて撤収済み。
──なのに、どうしても気になる。
ベランダの手すり。
手をかけたとき、「あっ」と思った。
表面が毛羽立っていて、ザラザラしている。
まるでサンドペーパー。
このまま布団を干したら、布団カバーが悲鳴を上げる。
「うーん、これじゃダメだな」
というわけで、急きょ“最終出勤”。
塗装用のケレンを手に、6号へ向かった。
表面をゴリゴリ削る。
粉が舞い、木が息を吹き返す。
「これが本当のビフォーだったんだよな」と思いながら削る。
写真は、その“ケレン後”──つまり再スタート地点だ。

そして登場するのが、KUROCKER’Sの木部用油性塗料「パリサンダ」。
“木目を活かすタイプ”というだけあって、主張は控えめ。
ペンキのようにベタッと覆わず、じんわりと染み込む。
まるで木と対話するような塗料だ。
ハケを滑らせるたび、木が「ふぅ」と息をつく。
乾いた表面がしっとりと落ち着き、色に深みが出ていく。
ベランダ全体の空気まで穏やかに変わる。

──これで、ようやく終わった。
6号物件、全作業完了。
ケレンから塗装まで、最後まで気を抜かずにやり切った。
たぶん誰も気づかない。
でも、自分だけは知っている。
この“手すりの手ざわり”こそ、仕上げの証だと。
布団も干せる。
心も晴れる。
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