5号物件は築年数が50年を超えている。
築古物件と共に生きるということは、日常の中にサスペンスが潜んでいるということだ。
もはや驚きはない。
今回の主役は、キッチンの床近く。
ちょうど巾木……いや、正確には “そのちょい上” に開いた穴。
絶妙な高さ。絶妙なカーブ。そして、決して人間ではない“何か”の歯形。
これは、たぶんネズミ。いや、間違いなくネズミ。
巷ではキャラとして可愛がられていることもあるけれど、築古物件を手掛けるようになってからというもの、「🐭=修繕コスト」として脳内変換されるようになってしまった。
小動物を意識するようになった自分を、数年前の私はきっと想像できなかっただろう。
現場検証(という名の穴チェック)
穴のサイズは約10cm。最初は小さく、そこから周囲に広がっているように見える。
犯人(たぶんネズミ)はすでに現場から逃走しており、私が作業を始めてから今までの間に目撃情報もない。
でも、このままにしておくわけにはいかない。
「よし、塞ごう。」
選ばれし武器、それは石膏ボード
DIYerたるもの、準備の良さより、勢いの良さで勝負。
現場の片隅に余っていた石膏ボードを引っ張り出し、カッターで作業スタート。
石膏ボードをカットし、ボンドをたっぷりつけて、それを石膏ボードビスとタッカーで固定していく。
もう一方の壁は大きな穴が空いていないので、ベニヤでの補強で大丈夫そうだ。
脳内に住む“理想の職人おじさん”が「おい、本当にそのやり方でいいのか?」と囁くが、ここはあえて無視。
完璧さよりも、まずは止血が先。


仕上げの“お化粧”でまさかの事件
さて、石膏ボードをはめたあとは、おしゃれタイム。
壁紙で化粧直しをして、石膏ボードと壁の段差は見切り板でスッキリ仕上げようという計画。
……のはずだった。
ここでまさかの、「壁紙、足りない事件」が発生。
なんとなく想像はしていたけれど、他の部屋で余った壁紙で作業を始めたため、在庫の数量を確認せずに進めた結果……見事に足りなかった。
部屋の片隅でひとり天井を見上げながら、在庫ゼロの現実を受け止める私。
ネズミの穴より深い、心の穴がぽっかりと開いた瞬間だった。
というわけで、作業は強制終了!
仕上げができないなら、いったんストップ。
あとは壁紙を追加で注文し、次回の私にバトンタッチだ。
DIYも人生も、予定通りにはいかない。けれど、それがまた面白い。
築古物件とネズミの穴は、私の成長記録である。
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